弱い識別性を有する商標の登録と保護に関する研究(一)
一、識別性の弱い商標の審査・審理と司法保護の現状
『弱い識別性を有する商標』は、厳密には学術的な概念ではなく、商標の固有識別性の強弱に基づく大まかな分類である。具体的には、暗示的な標章、一般的名称または記述的標章を含むその他の固有識別性を欠く標章、使用により識別性を獲得した標章などの範囲を含む。これらの標識は固有の識別性が弱い、または識別性の弱い要素を含んでいるため、『弱い識別性を有する商標』と呼ばれる。
弱い識別性を有する商標の登録認可および侵害事件を検索・整理した結果、この種の案件が一定の規模に達していることが確認できる。弱い識別性を有する商標はその公共的な属性ゆえに保護範囲が制限されるため、市場使用過程において、商標権者以外の市場主体が正当な使用範囲内で当該標識を使用することは避けられないばかりか、むしろ常態である。
したがって、弱い識別性を有する商標について、その識別性の認定及び保護範囲の画定は、商標登録制度及び保護体系全体にとって極めて重要である。しかし、現行の司法判例においては、弱い識別性に関連する規定の司法適用には多くの問題が存在し、具体的には弱い識別性を有する商標の範囲が不透明、正当使用の制限範囲が不明瞭、識別性認定基準の混乱などの問題が存在し、以下のような課題が顕著に表れている。
(一)授権・権利確定の識別性の重複認定
弱い識別性を有する商標の登録基準について、『中華人民共和国商標法』(以下「商標法」という)第11条では、以下の3種類の標章を商標登録できないと規定している:
(一)その商品の通用名称、図形、規格にすぎないもの。;
(二)商品の品質、主要原材料、効能、用途、重量、数量及びその他の特徴を直接表示したにすぎないもの。;
(三)その他の顕著な特徴に欠けるもの。
ただし、これらの標章が使用により顕著な特徴を有し、かつ容易に識別可能なものとなった場合を除く。
この規定は、商標登録制度における相対的資格条項として、商標登録手続きの門戸を設定するものであり、ある標章が商品を区別するための識別性を有するか否かを判断するものである。つまり、この条項が問題とするのは、授権・権利確定段階における商標の識別性の有無であり、その強弱ではない。
確かに、商標登録審査機関や裁判所が標章の識別性不足を理由に登録を拒絶したり商標権の無効を確認したりする場合、申請人または権利者は識別性の認定を確保するため、『商標法』第11条に基づき、通常以下の二つの立証ルートを同時に用いる。
すなわち、一方では、当該標章自体が通用標識や直接的記述的標識に該当せず固有の識別性を有すると主張し、他方では、たとえ標章が固有の識別性を欠いていたとしても、その使用によって識別性不足の欠陥を克服し、識別性と登録の基礎を獲得したと主張することである。
例えば、「長沙溈山茶業有限公司と国家工商行政管理総局商標評審委員会、湖南寧郷溈山湘沩名茶廠等の商標行政紛争事件」において、最高人民法院は、まず、係争標章の構成要素が比較的複雑であり、具体的には画像、ピンイン、文字の三者の組み合わせを含み、単純な単一の文字やピンインではなく、特に商標の図形部分の識別性が高いことを考慮し、係争商標は全体として識別性を有すると認定した。固有の識別性の判断を行った後、最高人民法院はさらにこの標章の使用状況について追加論述を行い、係争商標が20年間の使用実績と湖南省著名商標の称号を獲得しており、関連公衆の広範な認知を得て、十分な識別性を獲得したと認めた。
その他の例として、「国家知的財産権局等と鄭州市新視明科技工程有限公司の商標権無効審判行政訴訟案件」がある。本件では、北京知的財産権法院の第一審は、以下のように判断した。
係争商標が中国語の「好視力」で構成され、視力に良いという意味を含んでいる。アイパッチは通常、目の疲れを緩和したり、視力や目の周辺の皮膚状態を改善するために貼る製品であるため、係争商標が指定使用するアイパッチ商品において、その商品が「目の健康に良い機能を持つ」ことを暗示していると判断した。
識別性は弱いが、直接的にその商品の機能や用途などの特徴を示すものではない。さらに、記録上の証拠から、係争商標の出願登録前に、新視明公司とその関連企業は他社と多数の販売契約を結んで「好視力」アイパッチ等の商品を販売したり、新聞・ラジオ・展示会などを通じて「好視力」商標及び関連製品を広範に宣伝したりしていたことが証明された。その販売・宣伝の範囲は、北京や広東などの複数の省市地域に及んでいた。
長年の宣伝と使用を通じて、「好視力」アイパッチ商品は関連公衆の中で高い知名度を有している。2014年『商標法』第11条第2項は、標章自体が識別性を欠く場合においても、当然には商標として登録される可能性を失わず、その標章は市場流通や経営過程における実際の使用を通じて、固有の意味を超えた「第二の意味」、すなわち実際的かつ有効な使用による識別性を獲得できると規定している。係争商標は新視明公司による長期使用と大規模な宣伝普及により、市場シェアが高く、すでに十分な識別性を有し、識別が容易で、商品の出所を区別する機能を発揮できると認められた。
上記からわかるように、識別力が弱い商標を出願するとき、第二の意味、または長年の使用を経て指名度を有することを証明するのは非常に大切である。
出典:「知財財経」 日付:2025年6月5日
編集・翻訳者情報
担当:IP FORWARD法律特許事務所
中国商標代理人 戴 元


