コラム

【中国の商標法】三年不使用取消審判における証拠認定(六)

 中国における「商標法」第49条第2項は、「登録商標がその査定に使用された商品の一般名称となったり、正当な理由がなく3年連続で使用されたりしていない場合、いかなる企業または個人も商標局に当該登録商標の取消を申請することができる」と規定している。

 前回のコラム「【中国の商標法】三年不使用取消審判における証拠認定(五)」に基づき、本文は三年不使用取消審判のさまざまな場面における異なる証拠状況について分析・検討する。

六.「商品が全て輸出向け、中国市場において一切流通していない場合、指定商品の使用と認められるか」

Q:実務において、商標登録人はOEM生産のみを提供し、生産した商品は中国市場で販売されず、全て海外に輸出する場合、三年不使用取消案件において、登録された指定商品における商標的な使用とみなすことができるか。
 
A: 第15119363号『BOSSA NOSSA』商標三年不使用取消再審において、被申請人は中国において受託生産した『BOSSA NOSSA』ブランドのコート、ズボン、水着、麦わら帽子、ビーチハット等の商品の生産契約書、インボイス、税関申告書類、支払い証明書、等の主要な証拠を提出した。

 国家知識産権局は、被申請人が提出した証拠が示すのは、その委託が中国企業に『BOSSA NOSSA』ブランドのコート、ズボン、水着、麦わら帽子、ビーチハット等の商品製造を委託し、税関申告書に係争商標が明記されていることが認められると判断した。

 ただし、上記の商品は輸出専用であるものの、当該輸出専用商品の製造行為は中国大陸地域で発生したという事実があり、さらに、この種の『製造行為は中国大陸で発生し、域外地域へ販売する』という行為は、我が国の主要な貿易形態の1つであり、故に上述の使用行為は真実性、積極性、公開された使用と認定すべきである。したがって、被申請人が提出した証拠を総合的に判断すれば、完全な証拠チェーンを形成することができ、被申請人が係争商標について『ワイシャツ、ズボン、水着、帽子』等の審判対象の指定商品において、真実かつ有効な商業使用を行ったことを証明できる。さらに、上記商品と同一または類似の商品に属するその他の審判対象の指定商品における商標についても維持が認められるべきである。

弊所代理人コメント

 これに関して、OEM生産行為が使用行為に該当するかどうかは官庁の傾向によりばらつきがあります。ただし、実際生産の証拠を、若干余裕をもたせて収集し、完全な証拠チェーンが形成されている場合、商標が取り消されることにより市場秩序が乱れ、関連企業の利益を損害するという心証を、官庁審査に与えると、維持される可能性が高くなります。
上記を踏まえ、OEM生産を中国国内で講じる企業に関しては、やはり日常の生産・輸出証拠をある程度収集することが考えられます。
 
出典:「中華商標」2024年第8号 日付:2024年12月9日https://mp.weixin.qq.com/s/bLvBoX8XPWWbjSB0s-iS1g
 
編集・翻訳者情報
担当:IP FORWARD法律特許事務所
中国商標代理人 戴 元

戴 元/Dai Yuan

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