コラム

【中国の商標法】三年不使用取消審判における証拠認定(四)

 中国における「商標法」第49条第2項は、「登録商標がその査定に使用された商品の一般名称となったり、正当な理由がなく3年連続で使用されたりしていない場合、いかなる企業または個人も商標局に当該登録商標の取消を申請することができる」と規定している。

 前回のコラム「【中国の商標法】三年不使用取消審判における証拠認定(三)」に基づき、今回は三年不使用取消審判のさまざまな場面における異なる証拠状況について分析・検討する。

四.「『類似商品とサービス区分表』の変更により、実際に使用されている商品と未使用の商品の類似関係がなくなった場合、未使用商品に係る登録を維持することは可能か」

Q: 「類似商品とサービス区分表」とは、国家知識産権局が、世界知識産権機関によって提供される「商標登録用商品及び役務の国際分類表」と、1988年11月1日以降に中国で採用されている国際分類の使用実務に基づき、中国の国情を踏まえて商品及び役務の名称・類似関係について翻訳、調整されたものである。

 また、国際分類表の改訂に伴い、相応の調整がなされるため、「類似商品とサービス区分表」は毎年見直され、一部の商品は所属類似群、場合によっては区分さえも変更される。

 したがって、出願時に実際に使用されている商品と未使用の商品が類似商品に該当していた場合でも、審理の時点で「類似商品とサービス区分表」の変更を伴い、類似関係がなくなったとき、未使用商品の登録を維持することは可能なのだろうか。
 
A: 第3448516号「海天及び図」商標への三年不使用取消再審の件において、国家知識産権局は以下のような判断を下した。

 被申請人より提出された証拠は、公証済みのオンライン公式旗艦店における「海天」料理酒商品のスクリーンショット、公証済みの「海天」料理酒店舗の写真、送金記録及び領収書、ならびに被申請人が販売する「海天」料理酒に関する販売代理契約書、請求書などで構成された。これらは指定期間内に作成されたものであり、証拠チェーンを形成することにより、係争商標が指定期間内に査定使用された「料理酒」などの商品について、真実かつ有効、かつ合法的な商業使用が行われたことを証明した。

 なお、被申請人より提出された証拠は、係争商標の査定使用商品「酒精飲料(ビールを除く)」などの商品に関するものではなく、また本件審理時において「類似商品とサービス区分表」では、「料理酒」と「酒精飲料(ビールを除く)」とは類似関係のある商品ではない。しかし、係争商標が登録認可された当時、「類似商品とサービス区分表」上では、「酒精飲料(ビールを除く)」などの商品は、実際に使用されている「料理酒」商品の類似商品に該当したため、本件では、登録時の事実状態を基準とし、実際に使用されていない「酒精飲料(ビールを除く)」などのその他の商品における登録は維持することができた。

弊所代理人コメント

 上述の事例からみれば、『類似商品とサービス区分表』の変更により、実際に使用されている商品と未使用の商品の類似関係がなくなった場合、未使用商品に係る登録を維持することは可能である。商標審査審理のガイドラインは、商標登録人に有利な傾向があることがわかる。ただし、区分表の変動があるときは、しっかり権利を確保する視点から、再度変更後の内容に従って出願するとコスト対効果的にはベターである。

出典:「中華商標」2024年第8号 日付:2024年12月9日https://mp.weixin.qq.com/s/bLvBoX8XPWWbjSB0s-iS1g
 
編集・翻訳者情報
担当:IP FORWARD法律特許事務所
中国商標代理人 戴 元

戴 元/Dai Yuan

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