【中国の商標法】三年不使用取消審判における証拠認定(七)
中国における「商標法」第49条第2項は、「登録商標がその査定に使用された商品の一般名称となったり、正当な理由がなく3年連続で使用されたりしていない場合、いかなる企業または個人も商標局に当該登録商標の取消を申請することができる」と規定している。
前回のコラム「【中国の商標法】三年不使用取消審判における証拠認定(六)」に基づき、本文は三年不使用取消審判のさまざまな場面における異なる証拠状況について分析・検討する。
七.「同一の商標登録人が、顕著な部分は同一でありながら差異もある2つの商標を所有している場合、一方の商標の使用証拠を以って他方の商標の登録を維持できるか。」
Q: 商標取消案件において、行政機関と司法機関はこれに対し基本的に同一の審査基準を採用しており、実際に使用された商標と登録商標に差異があるものの、顕著な識別部分に変更がない場合、商標登録の使用を維持できるとしている。しかし、もし同一の商標登録人が、顕著な部分が同一でありながら差異もある2つの商標を所有している場合、一方の商標の使用証拠を以って他方の商標の登録を維持できるか。
A: 第9942522号『同美』商標取消不服審判において、国家知識産権局は、申請人の製品調達契約書では、商標『同美家 TOPMO FAMILY』商標が明記されているが、審査の結果、申立人名義での複数の『同美家TOPMO FAMILY』商標が多く登録されていることから、これら他の登録商標の使用は本件係争商標『同美』の使用とは見なせないと判断した。
第1939101号『MAY KING』(図形商標)商標取消不服審判において、国家知識産権局は、被申請人が提出した販売契約書、インボイス、製品検査報告書等の証拠に明記されている商品名『MAYKING』『美景』という字であり、被申請人名義で複数の『MAYKING』シリーズ商標が登録されており、本件係争商標は図形要素を含むことから、上記に列挙した商標使用証拠のみでは係争商標を特定できず、係争商標の商業的使用証拠とは認められないと判断した。
弊所代理人コメント
このように、同一の商標登録人名義で多くの類似商標が登録されている場合、三年不使用取消を申立られた個別の商標識別標章に合致した使用証拠を提出することが最も適しています。市場秩序を維持する観点から、たとえ商標の識別要部が一致していたとしても、全体が異なる商標の使用証拠で対応した場合、取消対象となる商標が維持される可能性があります。
しかし、上記の例のように、取消対象商標の登録を維持することはできない可能性があります。
上記を考え、普段から商標形態ごとに、使用証拠をきちんと保管しておき、三年不使用取消審判にかけられる際にすみやかに提出できるように予め準備しておくことがベストです。
出典:「中華商標」2024年第8号 日付:2024年12月9日https://mp.weixin.qq.com/s/bLvBoX8XPWWbjSB0s-iS1g
編集・翻訳者情報
担当:IP FORWARD法律特許事務所
中国商標代理人 戴 元


