コラム

中国国家知識産権局は『商標法改正草案(意見募集稿)』について意見募集


 1月13日、中国国家知識産権局は『商標法改正草案(意見募集稿)』(以下、「意見募集稿」という)を発表し、2023年2月27日まで広くパブリックコメントを募集しています。


 意見募集稿に関する通知案内、意見募集稿原文、改正説明、対照表

 https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/1/13/art_75_181410.html


 商標法は1983年施行されて以来、1993年、2001年、2013年、2019年に相次いで4回の改正を行いました。最近の2019年の改正は主に悪意登録出願の禁止と、損害賠償の増額に集中しており、改正箇所が少なく、解決できる問題も限られていました。そこで、今回の意見募集稿において、国家知識産権局は大きく改正し、新しい条文を23条追加し、現行条文を45条実質的に改正しました。ただ、今回の意見募集稿はあくまで国家知識産権局が起草した初案であり、改正の可決に全国人民代表大会常務委員会の審議を経る必要があり、また、意見募集稿に対して異なる意見も多く上げているため、今回の商標法の改正はまだまだ時間かかり、何回か草案作成・発表と意見募集が行われると予測しています。

 

 以下は、意見募集稿において重要と思われる一部の改正点です。

改正点1:悪意登録出願に対する規制の強化


 今回の改正重点の一つとして、意見募集稿は多方面で悪意の商標登録出願を規制する規定を増設しました。例えば


・ 悪意の商標登録出願を規制する条項の追加、悪意の商標登録出願の具体的な状況の明記

・ 悪意の冒認商標の強制移転制度の確立

・悪意の商標登録出願行為に対する処罰の強化

・悪意の商標冒認出願に対する民事賠償責任の増設


改正点2:商標の実際使用を強調し、商標登録後の登録者による商標使用状況の説明義務を増設


 意見募集稿により、商標登録後、商標登録者は5年ごとに国家知識産権局に対して商標の使用状況又は不使用の正当な理由を説明しなければなりません。


改正点3:重複登録禁止原則の確立

 

 意見募集稿により、同一出願人は、同一商品における同一商標を1件のみ登録できるとなっています。


改正点4:商標権利付与・権利確定手続きの調整


・商標の権利付与・権利確定行政訴訟の審理に情勢変更原則を適用しないと追加

・商標異議申立期限の短縮、商標異議に関する不登録復審手続の廃止


 上記以外に、意見募集稿では、悪意訴訟に関する逆賠償制度の導入、商標の構成要素の開放、自身の名前・名称・住所の善意使用、指示的使用などの正当な使用状況の追加、登録商標を自ら変更した場合の罰金規定の新設等の修正が行われました。


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著者情報

IP FORWARD法律特許事務所

中国弁護士

周 婷/Zhou Ting

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