コラム

香港芸能人アーロン・クオック対広州合美会社の肖像権紛争事件


 2022年12月26日、広東省高級人民法院は、知的財産権越境紛争の第5回典型事例を発表した。その一つは「香港住民郭富城(アーロン・クオック)対広州合美会社の肖像権紛争事件」である。


 アーロン・クオックは、アジアでも非常に有名な俳優・歌手であり、その知名度は中華圏においてはトップクラスである。広州合美会社が2019年から、許可を得ずにアーロン・クオックの肖像を使って、ネットやオフラインでブランド宣伝を行っており、その宣伝内容でもアーロン・クオックが同社のブランド製品のイメージタレントであることを暗示的に表現していた。


 これに対し、アーロン・クオックは広東自由貿易区南沙区人民法院にて民事訴訟を提起し、広州合美会社の無断肖像使用行為はタレントの影響力と商業価値を利用し、商業的な利益を得て、アーロン・クオックのイメージと信用を損害したことを主張し、アーロン・クオックは広州合美会社に対し、経済的損失500万人民元及び精神的損害に対する慰謝料10万元の賠償と、謝罪声明の公開発表を求めた。


 裁判所は、本件では、被告が原告の許可を得ずに、公式のWeChatアカウント、ビジネス宣伝会、オフライン店舗などにおいて、原告の肖像写真を多く使用して、故意に注目を集めたのは、肖像権侵害行為に該当すると認定した。このため、肖像権侵害の停止、謝罪、損害賠償の責任を負うべきだという判決を下した。なお、原告が500万元の経済賠償金及び10万元の精神的損害慰謝料の要求に対して、裁判所は、原告の知名度や侵害者の過失の程度、事件に関連した肖像と名前が使用された数量、範囲、用途、時間、与えた影響及び現在の市場要因などを総合的に考え、、最終的には、被告は原告に経済賠償金100万元を支払い、新聞やWeChatの公式アカウントで謝罪する判決をくだした。


 なお、肖像権の無許諾使用は、いうまでもないが、タレントをイメージをした似顔絵の使用も、実は肖像権侵害に該当する可能性がある。よって、このような使用がある時、商標・著作権登録をあらかじめ行ったうえ、混同・誤認を生じない方法で使用することを推奨する。


出典:https://mp.weixin.qq.com/s/MrDqzGzuGc42olSsVpp-rA

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