コラム

地理的表示証明商標の保護範囲及びその正当使用の範囲

事案の概要

中国浙江省農業技術普及センターは、第5612284号「龍井茶」の地理的表示証明商標の権利者であり、指定商品は第30類「お茶」である。特威茶会社は、2018年から2019年にかけて、シンガポールのTWG社から茶葉を輸入した後、上海旭暮社に委託して中国税関の通関を行うとき、中国語のラベル「龍井茶」および「盛玺龍井茶」を貼り付け、「特威茶旗艦店」を通じて販売した。これに対し、上海市浦東新区知識産権局は、特威茶会社が権利者の許諾を得ることなく「龍井茶」の地理的表示証明商標を使用した行為は、『商標法』に違反すると認定し、54.5万元の過料を科す行政処分を下した。特威茶会社はこれを不服として行政不服審査を申し立て、その後行政訴訟を提起した。

第二審判決

上海知識産権法院は、終審判決において以下のとおり判示した。

1)地理的表示の法的定義

「龍井茶」は地理的表示証明商標として、商品の原産地を示す機能を有しており、その商品が原産地の自然条件、製造技術および製法等の要素によって形成された特定の品質を備えていることを示すものである。

2)侵害判断の基準

地理的表示証明商標を使用するためには、以下の二つの要件を同時に満たさなければならない。

* 商品が当該地理的表示によって示される特定地域を原産地とすること

* 商品が当該地理的表示に求められる特定の品質基準を満たしていること

3)正当使用の範囲

次の条件を満たす場合に限り、地名の使用は正当使用に該当し、商標権侵害を構成しない。

* 商品の産地を説明する目的で使用されていること

* 文字の大きさ、書体、色彩等により当該地名を非常に強調していないこと

* 消費者に誤認を生じさせるおそれがないこと

以上を踏まえ、裁判所は、特威茶会社による「龍井茶」の表示方法は適正使用の範囲を逸脱しており、また同社製品が「龍井茶」の地理的表示に求められる品質基準を満たすことについても立証できていないとして、商標権侵害の成立を認定した。その結果、控訴を棄却し、原判決を維持した。

実務上の意義

本件は、司法判断を通じて、地理的表示証明商標の保護における中核的要件として、「法定の原産地範囲に属すること」と「当該原産地に由来する特定品質との関連性を有すること」という二重の保護基準を明確に示した事例である。すなわち、特定の原産地に由来せず、また品質基準も満たしていない商品について、地理的表示を目立つように使用し、その結果として関連公衆に商品の原産地や品質について誤認を生じさせるおそれがある場合には、商標権侵害に該当することが明確にされた。

また、地理的表示の使用許諾を受けた事業者は、許諾された範囲内でのみ地理的表示を使用しなければならず、例えば、許諾対象外の商品や販売ルートに使用したり、標章の態様を無断で変更したり、標章を目立つように強調して使用したり、実質的に使用範囲を拡大したりしてはならない。さらに、地理的表示に係る品質基準に厳格に従って生産を行うとともに、土地使用契約書や原材料購入記録等の原産地証明資料、加工過程の記録、生産台帳、品質検査報告書等を適切に保存し、「原産地の合法性」と「品質基準への適合性」を確保することが重要である。これにより、品質に備わっていないを理由とする契約責任の追及などといったリスクを回避することができる。

※本稿は『中华商标杂志』掲載記事に基づく。

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編集・翻訳者情報
担当:IP FORWARD法律特許事務所

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