弱い識別性を有する商標の登録と保護に関する研究
一、識別性の弱い商標の審査・審理と司法保護の現状
(三)知名度要素の位置づけ
識別性認定において、一部の司法機関は知名度との対応関係がポイントとしている。また、一部の裁判所は、知名度を識別性獲得の唯一な認定要件としている場合もある。
例えば、「アリババグループホールディング有限公司と国家知識産権局の二審行政紛争事件」において、裁判所は、アリババ社が提出した証拠では、係争商標「双11」が指定役務において使用を通じて比較的に高い知名度を獲得したこことについて触れたが、同社との対応関係を形成したこと、さらに関連公衆が当該商標を出所表示標識として認識し、それによって顕著な特徴を獲得したことを証明するには不十分であると判断した。
また、「干霸乾燥剤(深セン)有限公司と国家知識産権局の二審行政紛争事件」では、裁判所は、干霸社が提出した証拠では、出願商標が使用を通じて比較的高い知名度を獲得し、関連公衆が当該商標を商品出所表示標識として認識したが、それによって顕著な特徴を獲得したことを証明するには不十分であると認定した。
一方、「金冠(中国)食品有限公司と国家工商行政管理総局商標審判委員会その他二審行政紛争事件」において、裁判所は、2001年商標法第11条第2項の規定に基づき、固有の識別性を欠く標識であっても、特定の商品またはサービスにおいて使用を通じて必要な知名度に達し、かつその知名度が関連公衆に当該商品またはサービスに使用される標識と使用者との間の唯一の対応関係の確立を認識させるに足る場合、当該標識は当該商品またはサービスにおいて商標に要求される識別性を有し、獲得された識別性を有すると認め、商標として登録することができると判断した。
この他に、司法実務において知名度を識別性判定の重要な基準として用いる際、周知商標(馳名商標)基準、高い知名度基準、さらには一定程度の知名度基準などがあるため、知名度のレベルによって保護程度が違うこともある。
1.周知商標(馳名商標)の基準
「ネスレ製品有限公司と開平味事達調味品有限公司など商標争議行政紛争上告事件」において、北京市第一中級人民法院は、固有の識別性を欠く標章について、「獲得された識別性の判断における重要なポイントは、認知度にある」、「この認知度の基準は周知商標の認知度の基準と基本的に同じである」と判断した。裁判所は、商標の識別性判断における重要なポイントは認知度にあると判断した。要するに、商標の使用者は、特定の商品またはサービスに使用されているある標章が全国範囲の関連公衆に広く認識されており、かつ、その標章と使用者との間に唯一の対応関係が確立されていることを証明できれば、その標章が当該商品またはサービスにおいて獲得された識別性を有すると認められる。この認知度の基準は周知商標の認知度の基準と基本的に同じであるため、使用を経て識別力を有する立証要件は、周知商標に関する関連規定を参照することも考える。
2.比較的に高い知名度の基準
「干霸乾燥剤(深圳)有限公司と国家知識産権局との行政訴訟控訴審事件」及び「阿里巴巴集団控股有限公司と国家知識産権局との行政訴訟控訴審事件」において、裁判所は、使用者が提出した証拠では、出願商標が使用を通じ比較的に高い知名度を獲得したことを証明したが、ただし、商標そのものの識別力が非常に欠如であり、すでに使用者と一対一の対応関係が形成されたことを証明するには不十分であり、関連公衆がそれを商品の出所を示す標識として認識するには至らないと判断した。
3.一定の知名度の基準
「楊華祥と国家知識産権局との商標権無効宣言請求行政再審事件」において、最高人民法院は、長期間の使用を通じて、出願者の「汤瓶八珍」商標は既に一定の知名度を生み出し、2012年と2014年に相次いで寧夏回族自治区の著名商標に認定され、係争商標は既に楊華祥と明確なサービスの出所の指向関係を形成しており、関連公衆はそれを楊華祥及びその楊氏一族と結びつけることができ、係争商標は客観的に既に特定のサービスの出所を示す機能を発揮していると判断したので、出願商標の登録を認めた。客観的にいうと、この商標自体の識別力が弱いものの、完全にない標章ではないため、一定的な知名度がある証拠を提出したあと、その識別力が認められるようになった。
出典:「知財財経」
日付:2025年6月5日
編集・翻訳者情報
担当:IP FORWARD法律特許事務所
中国商標代理人 戴 元


