中国における行政摘発の実態

行政摘発に関する解説

中国では商標侵害行為が確認された時に、行政摘発は比較的費用対効果の高い対策手段として、多くの権利者企業様にて実施されています。弊方でも多くの実績がございますが、多くの権利者企業様から、この行政摘発に関して日常的にご質問をいただいているため、今回は、代表的なものを取り上げて、行政摘発の実態をご紹介したいと思います。


行政摘発の全体の流れは?

行政摘発における全体の流れは、下表のようになっております。





摘発する際の人員配備はどう決まるのか?

人員配備は摘発の規模に応じて決められており、例えば、1つの模倣業者に対する比較的シンプルな摘発であった場合、弊方では2名の担当職員を派遣します。この際、当局側も2名程度の担当官を動員することが一般的です。模倣業者の形態が工場もしくは複数の活動拠点である場合、模倣業者の規模に応じて、弊方から3~4名程の担当職員、当局から3~4名程の担当官が動員されることがあります。また、市場一斉摘発など多数の業者を一度に摘発する場合、弊方と当局と合わせて10名以上、動員した事例も多くあります。

​​​​​​​摘発申立窓口はどこなの?

行政摘発の申立については、皆さんが想像されているように、管轄の当局において専門の受付窓口があって、そこに書類提出することではありません。多くの場合、事前のアポを取り、管轄当局内における担当部署(例えば、商標権侵害案件であればAIC内の商標課)に直接赴き、そのオフィスで申し立ての手続きを行います。手続き自体は、30分~1時間程で完了します。この間に、書類審査や案件内容の協議が実施されるということになります。

摘発現場の雰囲気はどういう感じなのか?

最近の中国での摘発については、全体的に、粛々淡々とした雰囲気の中で行われることが多く、模倣業者が暴れ出したり、暴力沙汰に繋がるケースは減ってきています。また、実際の摘発の際、当局はあまり積極的に前に出て動くわけではなく、自らの身分を模倣業者に明かし、摘発する旨伝えた後は、調査会社の担当職員が模倣品を見つけ出したり、発見した模倣品について簡単な真贋鑑定を行ったり、模倣品に関連する書類やその他証拠を探ったり等の作業を行います。その間、当局は手続き上の必要書類を現場で発行します。これらの作業が終わると、押収物を運び出すことになりますが、これも基本的には当局担当官が動くことはあまりなく、調査会社の担当職員が押収物を当局の車もしくは調査会社で手配した車等に運搬し、当局指定の場所まで運びます。




侵害行為があれば必ず摘発できるのか?

原則として、侵害行為そのものが確認できれば、摘発できることになっていると解釈できますが、実務上は必ずしもそうなってはおらず、弊方の実務経験から申し上げますと、一般に、①模倣品そのものが摘発現場に存在すること、②摘発現場にある模倣品の販売価格が合計数百元以上に上ることが摘発条件になっているように考えられます

摘発後の処罰の内容は?

処罰の種類について、主に、侵害行為の差止命令、押収品の没収、罰金の3種類になることが多いです。そして、罰金金額の算定方法については、まず模倣業者の違法経営額を算出する必要があります。違法経営額とは、つまり、模倣品の製造、販売の経営規模ということになりますが、これが5万元に満たない場合、1~3万元前後の罰金が科されることが多く、5万元以上であるときは、5~10万元前後の罰金が科されることが多く、10万元以上の罰金はあまり見られないのが実情です。なお、違法経営額の算出基準は、各地当局の間で異なっていることが多く、取り扱いが統一されていませんが、主として以下のような事情を考慮して行っています。

・権利侵害商品の販売価格

・未販売の権利侵害商品の表示価格

・権利侵害を受けた商品の市場における平均価格

・模倣業者が取得した営業収入


以上、行政摘発に関してよくお問合せをいただく代表的なご質問とその回答をご紹介させていただきました。もしその他ご質問等あれば、お気軽に弊方にお問い合わせ下さい。


著者情報

IP FORWARD

模倣対策部/ビジネスサポート部 部長

陸 洋森

陸 洋森/Lu Yangsen​​​​​​​