コラム

作品名及びキャラクター名が『商標法』第三十二条にいう「先行権利」に該当するかどうかに関する司法認定

(二)作品名及びキャラクター名に係る先行権益保護の正当性分析

現在、商品化権益保護の法理的基礎や保護の在り方について、なお多くの論争が存在している。商標の授権・権利確定に関する行政事件において、作品名及びキャラクター名に係る先行権益を保護することの正当性及び必要性に限って、以下のように検討する。

1、    作品名及びキャラクター名を民事上の権益として保護することは、知的財産権保護の立法本意に一致する

作品名及びキャラクター名は、作品を構成するものとして重要な要素であり、創作者の知的投入及び感情的労力が凝縮された創作活動の成果の1つである。また、作品名及びキャラクター名が一定の知名度を有すると、それによって生じる既存又は潜在的な商業的価値及び経済的利益は、権利者による長期かつ継続的な宣伝・プロモーション活動並びに相当なプロモーション費用とは緊密な関係にある。このような民事上の権益に対して、適切な法的保護を付与することは、創作意欲及び商業的開発投資を一層促進し、文化産業における「創作―流通―商品化―再創作」という優れたループの形成を促進する役割がある。これは、知的財産制度の真意のひとつで、イノベーションを奨励し、文化及び科学の発展・繁栄を促進するという立法趣旨と高度に一致している。

2、    作品名及びキャラクター名を民事上の権益として保護することは、信義誠実の原則を重視し、商標登録管理秩序を維持するという商標法の立法目的にも合致する

『商標法』第三十二条に定める「他人の現存する先行権利を害してはならない」との規定は、商標の授権・権利確定手続において、商標権とその他の民事上の権益との間に生じ得る権利衝突を未然に防止し、又は解決することを立法目的としている。

作品名及びキャラクター名は、その構成が比較的簡潔であることから、著作権法上の「作品」に要求される独創性を欠く場合が多く、原則として著作権法による保護を受けることが困難である。しかしながら、前述のとおり、作品名及びキャラクター名は、一定の知名度を有することにより、作品の公表・流通それ自体を超えた商業的価値や取引機会を生み出し得る。

仮に、第三者がこれらを自由に商標として出願・登録し使用することを許容すれば、役務又は商品の出所について需要者に混同・誤認を生じさせるおそれがあるのみならず、悪意ある商標の先取り登録(いわゆる悪意のある冒認出願)を助長し、健全な市場競争秩序を著しく害する結果となる。したがって、作品名及びキャラクター名に係るこのような民事上の権益を適切に保護することは、悪意のある商標登録を抑止し、商標登録管理秩序を維持するという商標法の立法目的にも合致するものである。

※本稿は『中華商標雑誌』掲載記事に基づく。

https://mp.weixin.qq.com/s/vo0Z7wTxycedkNY__02iew

編集・翻訳者情報
担当:IP FORWARD法律特許事務所
中国商標代理人 戴 元

戴 元/Dai Yuan

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